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1.「好きでごめん」(快→新)

片思いな台詞でお題01@大学生設定
第1話




帝丹大学理工学部合格


「あー受かっちまった…」
合格発表で周りが浮かれる中、掲示板の紙に印刷されている自分の受験番号を見つめて暗い顔をしているのはきっと自分だけであろう。
「なぁに寝ぼけたこといってるのよ!天下の帝丹大学よ!青子だってもう少し頭がよければ絶対にここにいくわよ!」
「オメーじゃ、少しじゃなくてもっと頭がよくなけりゃ無理無理」
失礼ね、と隣でキャンキャン騒ぐ幼馴染の青子を横目でちらり、と見る。
思えば長い間コイツとずっと一緒だったんだよな。
ぼぉっとしてるからなーコイツ。
大学ちゃんと行けるのか?
「んもぉ、私がいなくてもちゃんと大学通えるの?」
「当たりめーだ!」
勢いで言ってしまったが、行く気はさらさら無い。
元々大学受験はしないつもりだった。
高校卒業したら、すぐにでもプロのマジシャンになりたかった。
でも、母親も教師も大学は行きなさいと無理矢理に薦め、たった一人の肉親でもある母親には逆らえないこともあって、渋々受験に試みたのだ。
「行きたくねぇな…」
ぼそり、と呟くと青子にぺし、と叩かれた。


なんだかんだで入学式。
結局大学生になった。
でも、まあ学生とマジシャンを両立するのもありか、と前向きに考えると気持ちが楽になった。
暇で暇で仕方ない入学式で入学生代表挨拶をするヤツは、主席合格した人に決まってる。
きっと瓶底眼鏡の堅そうな糞真面目学生だ。
あーヤダヤダ。早く帰りたい。
ザワザワと周りが途端に騒がしくなった。
「ね、ね、あれって…」
「そうだよね」
「オレ、同じ高校だったよ。アイツやっぱ主席だったんだな」
なんだなんだ?
舞台に眼をやると、そこにはつい最近まで新聞を騒がせていた高校生探偵の工藤新一だった。
そして、つい最近までバカやってた仲。
出会いはほんとに偶然だった。
中学生のときに公園でマジックの練習がてら子どもたちにショーを開いているときだった。
「すげーなオメー」
とでっかい身体で小さな子どもたちと一緒に眼をキラキラ輝かせてしゃがんでいた。
そこから仲良くなって、家に遊びに行ったり、夜中までゲーセンに入り浸って補導されかけたり、こっそり学校サボって電車でどこまで遠くに行って帰ってこれるかを試してみたり…
親友だと思ってた。
でも、違う。
そう気づいたのは高校に入って、新一が高校生探偵として活躍してオレとあまり会わなくなってから。

久しぶりに訪れた工藤家はやけに殺風景で、生活感がまるで無かった。
『新一、ちゃんと寝てるのか?』
眼の下には薄っすらクマができていて、少し痩せた気がした。
『大丈夫だよ』
『そんな急いで探偵にならなくったっていいじゃねーか。高校卒業した後とかさ』
『じゃあオメーは早くプロのマジシャンになりたいって思わねぇのか?高校卒業後まで練習しないのか?』
しまった、と思った。
誰よりも新一の気持ちはわかっているつもりだった。
そこで止めておけばよかったと何回後悔したことか。
『心配してんだろ!オマエもちょっとは鏡を見てみろよ!ひでぇ面じゃん…』
『ほっといてくれ。今日は疲れてるんだ。オマエと言い争いはしたくない』
『好きなんだから、心配して当然だろ!』
あの新一の明らかにびっくりした顔は少し胸が痛んだ。
ああ、やっぱ一方的な恋なんだってわかった瞬間。
男同士なんだから仕方ないけど。
『好きなんだ、新一のことが』
『ゆったらすっきりするかと思ったけど、そうでもねぇな。やっぱ男同士だからかな…ははッ』
自分が何を言っているのかわからない。
振られるの、わかってるからこそ答えを聞きたくなくてしゃべり続ける。
『……好きでごめん』


最後に言った言葉が、好きでごめん、だなんてまじカッコ悪すぎ。
これだけの人数と学部があるのなら、絶対会うことはないと思ったのに新一は頭良すぎなんだよ。
これ以上目立つことしないでくれ。
オレが惨めな思いを思い返すことになるじゃんか。
だから、帝丹大学だけは受験したくなかったのに。
「ーーーー入学生代表工藤新一」
壇上から降りる彼に送られる拍手。
オレは拍手することすら忘れていた。
だって、新一がこの夥しい生徒の中からオレを見つけたんだ。

オレは新一が小さくバ快斗、と呟く口元をぼんやりと見ていた。


配布元*riko様
ハニィラブソング

友達以上恋人未満シリーズ1(ヒカアキ)

なんだか泣きそうだ、




愛しい愛しいアナタ。
たとえ、アナタの記憶が薄れたとしても
アナタの幸せだけを願っています。





「どうした進藤?」
はッと気づくと、塔矢が心配そうにオレの顔を覗きこんでいた。
「ごめん、今オレぼぉっとしてた?」
慌ててごめん、と両手を合わせた。
「キミ、体調悪いんじゃないか?早く帰って休んだほうが・・・」
「いや、大丈夫だよ」
塔矢の言葉を遮って碁盤を見つめる。
白昼夢でも見たのだろうか。
懐かしい佐為の声を聞いてしまった。
今更取り乱すことはないけれど、やっぱり気になってしまう。
もしかして帰ってきたんじゃないか、とか期待してしまうじゃねぇか。
「今、佐為の声を聞いたんだ」
塔矢にはまだ話てなかったその秘密。
まだ先だと思っていたのに、今こそが話すタイミングのような気がする。
「佐為はオレの師匠で、友達で、家族で、空気のような存在だった」
「アイツがいたから碁を始めたし、アイツがいたからオマエに会えた」
今はもう会えないけれど
碁を続ける限り、アイツはオレの傍にいてくれる。
カーテンが舞う窓の外に、鯉のぼりがはためいていた。
ああ、そうか。
今日はアイツの命日なんだ。

年を重ねるごとに、アイツの記憶が薄れていく。
人ではなく幽霊だったからかな。
黙ってオレの独り言のような会話を静かに聞いていた塔矢はにっこり笑って
話してくれてありがとう、
と言った。
なんだか泣きそうだ、とオレが言ったら
じゃあ僕の胸を貸してあげようか、と冗談交じりに言い返された。

君がいた夏 3(快新)

「しくった・・・ッ!!」




足の感覚がない。
目が霞む。
鉄の味がする。

パァァァン……


遠くで銃声の音がする。
ダメだ……血痕を残すわけにはいかない。
…撃たれるわけにはいかない。

パシュ

耳元で小さな音がした。
熱い。

下腹を押さえるとぬるりと血液が流れた。
赤い血
赤い血
赤い血
赤い血
オレは…ここで死ぬわけにはいかない…んだ。


こ、の…天下の…キッド様が……ああ、



霞む瞳の中、ビルの屋上で見た虚ろなあの蒼い瞳を持つ彼が見えた。


なんで、こんなときにアイツの顔が…










快斗は白の世界にぽつんとあるメリーゴーランドの前に立っていた。
死後の世界ってのは、闇だと思ってた。
あ、オレってやっぱ死んだんだな。
キラキラ光って、とても綺麗だ。
白馬や馬車が上下に動いている。
小さな子どもの笑い声が聞こえてきた。
そういえば、親父によく遊園地に連れて行ってもらっていたっけ。
誰もいないと思っていたメリーゴーランドに子どもが二人乗っていた。
小さいときのオレ、か。
もう1人は工藤新一………?
オレはアイツに前に会ったことがあるのだろうか。
笑いながら二人で白馬に乗って笑っている姿は、まるで双子のように似通っている。
あの時、ビルの屋上で煙草の煙を眺めていた彼に声を掛けたのはただの気まぐれじゃなかったか?
今にも死にそうなヤツがいたから人生の面白さひとつでも与えてやろうと思ったからではなかったか?
そしてそれが、マスコミを賑わせている高校生探偵だったからではなかったか?
でも、
そんなこともう関係ないか…
だってオレ、死………………

『…おい、』
何か聞こえる。
お迎えか?
『…キッド』
何、
誰だ?
『しっかりしろ!』
なんだよ。オレならここにいるじゃないか。
そんな叫ばなくても聞こえるってば。





「…うるせーって」
そう呟いて眼を開けると高校生の工藤新一がいた。
白い部屋だった。
「そんな憎まれ口利けるなら心配ねぇな」
「痛…」
腕一本動かせない。
「当たりめーだろ?散々走って体力を消耗して、挙句銃で撃たれて血流してたんだから。奴等が何者かは知らねぇが、オレがオマエを匿ったことはバレてねぇって。血も掃除してきたから安心しろ」
首だけ動かして周りを見渡すと、腕に包帯が巻かれ点滴が刺さっていた。
きっと体中包帯で巻かれているのだろう。
なにがなんだかわからない。
工藤新一がオレを助けた?
「まだ銃で撃たれたショックで発熱しているし、記憶も混乱してんだろ。ゆっくり休めよ」
彼はサイドテーブルを指差すと、お粥を指差して食べるか?と聞いた。
オレが何も言わずに見つめかえしたら、彼はまあ食べる気になったら言ってくれ、と言ってくるりと後ろを向いた。
「………あ、の」
「何?」
「ありが…と」
彼はにこ、と微笑んで、前にオレを助けてくれたろ?と言い残こし、ドアをパタンと閉めた。
やけにその音が部屋に響いた。

君がいた夏 2(快新)

足元に落ちたそれは、血の色をした大きなダイヤだった。
怪盗キッドは盗みを働くが、その後必ずその持ち主に返却するという。
裏には何か目的があるのではないか。



リビングのソファで大好きな推理小説を片手にしているにも関わらず、文章が頭に入ってこない。
代わりにテーブルの上に置いたキッドの資料を持ち上げた。
殺しは決してしない泥棒だが、悪党は悪党。
警察を手玉に取り、楽しげに宝石類ばかりを物色する。
昨晩の盗みは近くの美術館で起こったようだった。しかしあんな高いビルに登らなくとも、そこからすぐに逃げればいいものを、わざわざオレに挑発するようなことを言い放って去っていくなんて。
・・・・・・アイツ、本当は誰かに捕まえて貰いたいのかな。
「あーバカらしい。何をそんなに気にしているんだか」
オレの専門は殺人。
泥棒じゃねぇ。
まぁ次会う事もないだろ・・・
そんなことを考えていると不意に警視庁からの要請の電話が鳴った。







「ちょろすぎるぜ」
キッドは夜空を飛びながら、怪盗の顔から高校生黒羽快斗となる。
今日の獲物は毎度のごとく中森警部が罠を掛けていたようだが難なくクリアした。
「・・・でも今回もハズレか。またいつものように返しとくか」
これまで幾度と無く盗みをしてきたが、目当てのものにたどり着くことは無かった。
警察とのイタチごっこにもマンネリを感じ始めてきている。
「警察もいい加減、オレを追い詰めてみせて欲しいもんだぜ」
ふと、都内では一際目立って高いビルに人影が見えた。
興味本位に近づいてみるが、相手は気づきそうにない。
どうにも見覚えのある顔だ。
「そうか、工藤新一・・・」
最近新聞を賑わせている高校生探偵。
自分の記事をチェックしているときは必ずと言っていいほどよく載っている。
「こりゃ大スクープだな」
煙草の煙を吐き出している新一を見つめると快斗はにやりと笑った。
コイツならこのオレを楽しませてくれるんじゃないか。
挑発的な瞳、頭のキレ、整った顔立ち・・・
何もかもが理想的。
オレを追い詰めてみろよ。
絶対に捕まらない。
その代り、オレがお前を縛り付けてやる。
どんな顔をするか楽しみだ。
よく覚えとけ、オレのことを。
ネクタイを引き寄せて、顔を寄せたのは少しでもオレの顔を覚えさせる為。
少しでもお前の顔を近くで見たいと思ったから。
「ギリギリの綱渡り、それが燃えるってもんよ」
後ろ向きに落ちながらトランプ銃を彼に向ける。
「・・・・・・・いいね、その顔」
カードが彼の頬を掠めて足元に刺さるのが見えた。

君がいた夏(快新)

マントを翻す奇術師は大胆不敵にもこのオレの肩を掴み、嫌味ったらしい台詞を囁くとビルの屋上から飛び降りた。




---賭けてもいい。




-----アナタにはこの私を捕まえられない。



「・・・・なぁにが賭けてもいい、だ!!」

銀色の翼で優雅に飛んでいく気障な怪盗を見つめながら悪態をついた。





あんなコソ泥には興味はない。
殺人事件が専門である高校生探偵工藤新一があの怪盗キッドに出会ったのは、偶然に過ぎなかった。
園子の父親が主催するパーティに幼馴染である蘭と連れ立って行ったものの、名立たる大手企業のオーナーらに捕まり、ただの権力の誇示し合いのつまらない席であったし、気づけば蘭は蘭で園子や着飾った貴婦人達とガールズトークで盛り上がっているようだった為に気晴らし程度にビルの屋上まで上がってみたのだ。
そのビルは都心でも際立って高いビルで、遠い地上で蟻のように車が行きかう光とネオンで溢れていた。
やれ殺人事件だの、やれ強盗だので高校生ながらに警察へ協力し続けている自分がちっぽけな存在に思えてしかたない。事件を追い続けてそこに何があるというのだろう。
正義、と言えば聞こえはいい。
しかし自分は正義を求めているのだろうか。ただの自己満足に過ぎないのではないだろうか。

ジャケットの内ポケットを探り、マイルドセブンを取り出した。
普段真面目で優等生、おまけに警察繋がりでメディアに顔を出しているというだけあって、外出先での喫煙は控えていたが、今日はそんな気になれなかった。
「どいつもこいつも金、金、金・・・頭おかしんじゃねーの」
ZIPPOライターで煙草に火をつけると、深々と煙を吸った。
この瞬間が堪らなく好きだ。
屋上のフェンスに指を絡ませて、このまま落ちてしまうような錯覚に陥る。
このまま落ちてしまったら自分はどうなるんだろう・・・
原型を留めないほどの肉の塊と化するのだろうか。
不意に誰かの視線を感じた。
「・・・誰だ?」
後ろを振り返って屋上の入り口を見るが誰もいない。
----気のせい、か?

「名探偵が愛煙者だったとはね・・・」
右手頭上から声がした。咥え煙草のまま鋭く見上げると嫌な汗が伝うのを感じた。
探偵という副業柄、人並み以上に人の気配には気づく自信があったが声をかけられるまでわからなかったことに、久しぶりに恐怖と高揚感を覚える。
視線の先には、今時見たことのないシルクハットにマント、暗闇の中でもはっきりわかるような白。
「アナタのこと知ってますよ。高校生探偵工藤新一君?」
白が邪魔で顔がよく見えない。
「光栄だな。でもオレはオメーを知らねーなぁ?」
同い年ぐらいか?シルクハットの下で微かに笑う少年のような瞳が見えた。
下でサイレンの鳴り響く音がする。
男はマントの下から翼を出した。
「それは残念です。これでも新聞のトップは飾るほどなんですよ」
「・・・怪盗キッドか」
そういえば最近よく世間を賑わせている泥棒がいたな。警察に引き渡そうか・・・
キッドはにやりと笑うとフェンスの上で器用にしゃがみ込むと、新一のネクタイを引っ張り顔を寄せた。
「無駄ですよ。アナタには私を捕まえられない。賭けてもいい」
乱暴にネクタイから手を離し、そのまま後ろ向きで飛び降りた。
「待ちやがれ!!」
新一がフェンスに身を乗り出すと、後ろ向きのまま銀色の羽を広げ拳銃を構えるキッドが見えた。
「やべ・・・ッ」
来るはずの衝撃に身を縮めたが、頬にカードがかすっていっただけであった。
足元に刺さったカードを拾うと、胸ポケットからころり、と何かが滑り落ちた。
「あの気障ヤロー・・・」
新一は憎憎しく呟いた。
それを拾い上げる頃には、キッドは意気揚々と風に乗ってビルの影に隠れてしまうところだった。

プロフィール

Author:ひよか
当サイトは非公式BL傾向二次創作小説となっております。
主に名探偵コナン(快新)とヒカルの碁(ヒカアキ)です。
ひよか自身の趣味により構成されている為、当サイト扱い作品関係者様とは一切関係ありません。
また、年齢・性別制限は致してませんので自己責任にて閲覧してください。
気分を害されたとしても責任を負いかねます。もし、著作権等で何か問題が発生した場合速やかに撤去します。

Thanks 100hit☆

リンクフリーです。
人魚ひめ

ではごゆっくりどうぞ。

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